大胸筋 | バストアップ・豊胸を科学的限界でまとめる(1)
乳房を大きくすることと乳房の下垂を改善することは別物
バストを大きくする(所謂「豊胸」)こととバストの垂れ下がりを改善してバストアップするということは、基本的に性質が違うものです。
バストの大きさとは、乳腺及びこれを包み込む脂肪のボリュームであり、バストの下垂とは重力に抗するための支えや組織の結合力が弱いということです。
世の中に出ているバストアップ関連商品は、この2点を一緒くたに考えて「バストアップ」や「豊胸」として一括りにして「・・・だけでバストアップ!」などと謳われています。
実際に様々な商品やノウハウマニュアルのレビューを見ていますと、意外に、「私は下垂を改善したかったのに・・・」とか、逆に「大きくしたかっただけの私には役に立ちませんでした・・・」などというレビューがしばしば見られます。
性質が違うことを「・・・だけで」といったように同時に改善することは基本的にあり得ないことと考えねばなりません。
乳房の下垂を改善するには
まずは、乳房の下垂(バストダウン)は先に述べたように、
- 乳腺及びこれを包み込む脂肪などの結合組織全体を重力に抗して支える力が充分でないこと
- 乳腺及びこれを包み込む脂肪などの結合組織内部の結合力が弱くお互いに支え合うことが不足していること
ということに尽きるでしょう。
後者は、作用反作用の法則で違和感があるかもしれませんが、大胸筋に支えられていることに依存している割合(100%かもしれない)に準じては成り立っているのではないかと思います。
乳房の構造を力学的に扱いやすい表現にすると、お椀型をした皮下脂肪という容器の中にクーパ靭帯によって張り巡らされた乳腺に脂肪が絡みついた結合組織が満たされ、これら全体を大胸筋が片持ちによって支えているということができます。
そうなると、前者の要因としては、
- 第1軸:容器全体支える大胸筋 → 容器・内容物全体のモーメント力を支える
- 第2軸:容器内容物を支えるクーパ靭帯 → 内容物全体の重力を支え容器の形状を決定する
後者の要因として、
- 第3軸:容器内容物自体の結合度 → 大胸筋側のクーパ靭帯に連結する密な結合は自重に対して強くなる
が、考えられます。
どの軸が最も大きな影響を及ぼしているかは、研究でもしない限り分かりませんが、下垂の原因としては、大胸筋の弱化とクーパ靭帯の弛緩及び乳腺・脂肪結合組織の密度の劣化などが考えられます。
さて、クーパー靭帯は伸びたり切れたりしても、元の状態に戻すことはできないというのが医学的なコンセンサスです。
即ち、クーパー靭帯へのアプローチは下垂した後では難しく、後の祭りにならないように予防に気を配ることが大切です。
ここで注意点です。
ネット情報では「クーパー靭帯は鍛えることが出来る」という情報がワンサカ出てきます。
それを売りにしている商品やサービスが多いのかもしれませんね!
おそらく、たまたま、アプローチすることが大胸筋強化と繋がっているため、結果として無意味ではないことになる場合も多々あるのでしょうが、基本的にクーパ靭帯が鍛えられたからということでは決してありません。
謳い文句としては正しくないけれど、効果が出たように見える場合があるということなのでしょうね。
ですから、加齢によって
- 大胸筋が弱化もしますよね
- クーパ靭帯が伸びたり切れたりもするでしょう
- 結合組織の密度が疎にもなっていくでしょう
また、加齢とまでいかなくても、もともとこれらのポイントのどれかが、あるいは全てが満たされてしまっている若い方も居られるでしょうから、年齢には関わりなく『バストの下垂』は、これらを総合的にケアしていくことが必要だと思われます。
バストの下垂には、どの要因がどんな割合で影響しているのかの報告は目にしたことがありませんが複合していることは大いに予測されます。
また、個人差もあるでしょうから、とにかく「これだけをやれば改善できるという思い込みはされない方が賢明でしょう。
以上のことをお断りした上で、最も大元である『大胸筋』を鍛えるという試みは基本実践項目になることは間違いがありません。
胡散臭いノウハウマニュアルであっても、これを謳っているのであれば、その点では間違いだとは言えませんね。
但し、それだけでバストアップやサイズアップを謳っているのであれば、その点で不誠実と見なさねばならないでしょう。
『大胸筋』を鍛えるにしても、筋繊維は縦横両方向ありますから、二次元感覚で鍛えなければ片手落ちになるということも考慮しなければなりません。
第1回結論
大胸筋を鍛えるということはバスト下垂改善のベースとなるが全てではない!
Amazonで1冊の本を読む方が着実に前進します。
但し、きちんとした専門家の本を読まれることをお勧めします。
一般の美容家の方でも有用なものはあると思いますが、概して大げさな謳い文句のものに飛びつくと裏切られます。
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