活性水素は私たちの環境や体内では安定して存在しない

活性水素水のウソ

今や、『水素水』が大きなブームになっているようですが、ネットを見ても、微妙に相違した言葉が氾濫して、何が何やら分からないような状況ですね。

まず、このページは『活性水素水』の飲料として(経口摂取)の可能性に限定してのお話であるということを念頭においてください。

水素が脚光を浴びるようになったのは、元を辿れば九州大学の白畑實隆教授。

電気分解によって発生した「活性水素(active hydrogen)」がDNAに酸化的ダメージを与える活性酸素を一掃する効果があると報告した(1997年)ことに始まります。

確か、電解還元水生成器(俗に言うアルカリイオン整水器)メーカの日本トリムと組んで研究をされていたと記憶しています。

最近では、水素水ブームに火付け役とも言える日本医科大学の太田成男教授。

この方は、本来はミトコンドリア研究の学者さんで、その絡みで、水素水の研究が出て来たのでしょう。

【buy恩人】でも太田成男教授の著書は『体が若くなる技術』『ミトコンドリア』などを読ませていただき、大変勉強になりましたが、ミトコンドリアばかりをあまりに強調されることや自分の業績ばかりが前面に出るきらいがあり、好感が持てるとは言えず、どうしても一定の違和感は拭えませんでした。

『水素水』に関しては、【buy恩人】では、支持できる説ではないと考えていますので特には読んでいません。

アルカリイオン水が胃腸症状の改善に効果があるという程度と同程度までに効果があるのかどうかは疑わしいでしょう。

別に害があるというわけではないとは考えますので、大して効果を期待せずミネラル水と同じ感覚であれば飲まれるても問題ありませんが(インチキ商品が多いですし、活性水素を謳うものはダメ)、基本的には普通の人が単に健康増進のために飲んでも大した意味がないと考えます。



さて、消費者を混乱の坩堝に陥れている昨今の状況を見てでしょうか、その日本医科大学の太田教授のホームページでは『一般の皆様へ』というコーナーが作成されています。

そこでは次のように書かれています。

水素の名がつく、商品が売られています。

マイナス水素イオン(あるいはヒドリドイオン)や活性水素(あるいは原子状水素)は、生物が存在しえない特殊な状況下では存在することもありますが、生体内では存在しえないものです。

生体内で存在しえない物質があたかも生体内で機能しているように謳っている商品とは当研究室は無関係です。

また、水素吸蔵サンゴ、水素吸蔵ゼオライトが「水素サプリ」として販売されていますが、ほとんど水素(H2)は発生しません。

水素サプリと称して販売されているもので、ちゃんと水素が発生するのは、原料表記で「精製岩塩」と表記されています。

水素水の効用を研究されている太田教授ですら「インチキが多い」と嘆かれている水素水ですから、この文言を起点にふるいにかけていくことにしましょう。

上記、引用の中で「活性水素は生体内で存在し得ない」と結論されていますね。
これは、常識から【buy恩人】の物理系メンバーでも立てていた仮説と一致しますので、当然と感じる以上のことはありません。

活性水素を活性水素のままで何らかの形で人の体内に入れるということ自体が、まず成立しないと考えるべきです。

太田教授が、まともな学者の領域に踏み止まれておられて、少しは安堵しました。

ただ、まず活性水素を生成した状態で人に外的に接触させることができるかどうかは別問題ですし、それが出来た場合に何らかの効果が見込めるかどうかは別問題です。

その話は後でするとして、とりあえずは水素に関する言葉を整理しておきましょう。

水素
分子状の水素を指す。H2ですね。
活性水素(active hydrogen)

原子状の水素を指す。Hです。

通常、私たちの暮らす大気中には常時的に存在することはありません。

水の電気分解によって分子状水素H2になる前に、イオン化した水素H+が電子を受け取る(還元)ことにより、H原子として存在するプロセスがあります。

水素水

分子状水素を含有させた水。

高圧下で溶解する方法及び水の電気分解で発生させる方法があります。

半導体や液晶の洗浄用として工業的に利用されています。

太田成男教授の主張するように医療用として活性酸素を消去させる働きの研究は進んでいます。

活性水素水
白畑實隆教授が電気分解によって発生した「活性水素(active hydrogen)」がDNAに酸化的ダメージを与える活性酸素を一掃する効果があると報告し(1997年)、その後も活性水素説を研究し続けておられたようだが、現在では、その仮説を捨て、分子状水素の効果ではないかと仮説しているようです。

電気分解における活性水素自体の存在は何も問題はありません。

ただ、これが機能水の効用として有効だという仮説なら、そもそも仮説するということ自体が浅薄と思えるのですが、すでに、白畑教授も放棄されているようですから一安心です。

活性ということは「不安定」の代名詞であり、たかだか人間が暮らす範囲では、たとえ空気中に原子状水素(活性水素)が瞬間的に存在したとしても、ほぼ瞬間に消滅するであろうと考えることが常識でしょう。

ましてや、体内で活性水素が活性水素のままで吸収され、生き永らえて都合よく活性酸素に作用し得るのか?ということを検証するプロセスは不可欠でしょうね。

ですから、磁場の中に置いて活性水素を生成するなどという方法もあるようですが、生成したとして「磁場を取り去ったらどうなるの?」って話になります。

さて、先ほどの話に戻りますが、少し前まで、活性水素水を噴霧するとアトピーの治療に効果的ということが言われていました。

「水治療」などと謳われて、アルカリイオン水と併せて実際にアトピー治療に使われていましたし、今も使っている治療機関もあるようです。

しかし、かつて「水治療」で行列をなした病院も、今はアトピー治療を行っているようには見えないのは何故なのでしょうか?

おそらく謳っていたほどの効果(約6割が改善)は無かったからではないかと判断されても仕方ありませんね。

病院との連携で開発されたその商品は、その機能を利用して噴霧式のスキンケア商品としても売り出されました。

その企業は、世間一般への認知度はほとんどありませんでしたが、自動車工業界ではよく知られた大企業でした。

しかし、その製品はすでに販売されていません。

何故でしょうか?

スキンケア商品としての販売を中止したのかもしれませんが、会社の事業内容を見ても活性水素の医療関係への提供は全く記載されていません。

当時の営業マンは「活性水素として効果があるのは噴霧してから数秒間」と正直に語っていました。

圧縮噴霧する程度で活性水素が生成するのかどうかは、我々にも予想が付きませんが、生ごみに噴霧すると臭いが一瞬にして消えることには実際に立ち会って確認はしました。

瞬間的な抗菌作用があることは類推されましたが、それが果たして活性水素の作用なのか、単なる水素分子の作用なのかを見分けることなどは、設備を持たない限りできない話です。

ですから、水素にしろ活性水素にしろ、経口摂取以外であれば、使いようによっては医療としては非常に有用なものになる可能性は残されていると言えるでしょうが、アトピーに対する水治療データが公に報告されない以上は、何とも結論が出せません。

活性水素水ではなく分子状水素だったのかどうかも分からないのではお話になりません。

ともかくも、この大企業が全てを引っ込めたところから想像するに、会社のイメージを損なう製品という結論を出したのかもしれないですね。

水素水や活性水素水を研究することは何も悪いことではありませんが、「よりにもよって経口摂取となる飲料水として効果があると短絡するのは如何なものでしょうか?」と疑問を投げかける以前の問題として、経皮摂取での活性水素水あるいは水素分子の効果が如何なるものであったのかが総括されていないことがまず問題です。

いずれにしても、科学的常識から考えて、活性水素が謳われているもので且つ経口摂取するような代物は、まず健康に対する効果は無いと判断するふるいは妥当でしょう。

次のふるいとしては、

水素水にしろ何にしろ「経口摂取して」、それがそのままで吸収されてターゲットに治療効果を及ぼすのか?

という壁が立ちふさがっています。