水素には何の罪もないけれど・・・水素水?

水素には何の罪もないけれど・・・水素水?

どこの馬の骨とも分からぬ会社しかやっていなかった『水素水』が、伊藤園の参入によるのでしょうか大きなブームになっているようです。

ただ、ネットを見ても、微妙に相違した言葉が氾濫して、何が何やら分からないような状況ですね。

前回記事にした『活性水素水』も、形勢が悪いと判断して、同じ商品なのに『活性』という言葉だけを外して売っている場合もあるでしょうから、注意のしようがないかもしれません。

活性水素水の記事と一部重複するかもしれませんが、話を進めて参りましょう。

『活性水素水』の記事でリンクだけ致しました国民生活センターの報告の後、追記発表がされていますので、そちらから消費者へのアドバイスの項目だけ引用しておきます。

  • 水素水には公的な定義等がなく溶存水素濃度も様々です。また、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品として許可、届出されたものは、現在のところありません。
  • 容器入り水素水のパッケージに表示されている溶存水素濃度に、充填時や出荷時とある場合は、飲用する時の濃度とは限りません。また、水素水生成器も水質や水量等により変わる旨の表示があり、必ずしも表示どおりの濃度になるわけではありません。
  • 水に溶けている水素ガス(水素分子)は、容器の開封後や水素水生成器で作った後の時間経過により徐々に抜けていきます。

この報告からは、商品によって溶存水素濃度もピンキリ(中には水素が溶存していないものも!)だということがお分かりいただけるかと思いますが、それ以前に認識しておくべきは、報告書本文でも記載されていますように、事業者が「水素水」に期待できるとしている効果は「水分補給」がダントツだったということです。

国民生活センターへのアンケート回答ということで優等生の回答をしているのかもしれませんが、裏返せば「本当のところは水分補給程度なんだよ」という本音を暴露しているようにも見えます。

なんだかちょっと笑えてしまいますよね。

続いて面白いのは、同じく「期待できる効果」として公式に認められている「胃腸症状の改善」への回答が、容器入り水素水製品のメーカではゼロだったということです。

アルカリイオン水とは違うんだというイメージを植え付けたいが故なのかもしれませんが、水素濃度は違えど基本的には同じものなのにです。

ですから、首尾一貫して優等生の回答をするのであれば、この項目に回答がされる筈なのですが、ここには、そんな効果じゃ売れないという心理が働くのでしょうか?ダイエット・美容・アンチエイジングに回答が分散しているんですね。

まぁ、『水素水』を巡る現実はこんなものだということを認識しておかれることも大切なことです。

注記

※「胃腸症状の改善」なる効能は、厚労省より正式に「アルカりイオン水」の効果として認められたものです。

※電気分解によって生成された「水素水」は、定性的に「アルカりイオン水」と同じ意味になります。「電解水素水」や「還元水素水」と呼ばれることもあります。

※言葉の違いによって、さも別物であるかのような珍説がネット上には散乱していますのでご注意ください。

※基本的には「水素水」であることに変わりなく、作り方によって修飾語が付けられているとシンプルに考えるのがいいでしょう。
水素ガスを水に溶解させる作り方の場合には「電解」だとか「還元」といった修飾語は付きませんが、付いてないからと言ってガス封入方式で作られたとは限りませんからややこしいのですね。

さて、『活性水素』の記事でもご紹介した2人の学者さんの一方、白畑實隆教授は流石に「活性水素による効用説」を捨てられてはいるようですが、「水素分子による効用説」を軸に研究を進められているようです。

もう一方の日本医科大学の太田成男教授はインチキ商品が多いことには注意喚起をされた上で、自身は精製岩塩から体内で水素を発生させる方式での水素摂取を提唱されているようです。



【buy恩人】では、『水素水』に関しては大して効用があるわけではないと判断しているのは、おおよそ次の理由からです。

  1. 水素は水に溶けにくい(1気圧常温時で二酸化炭素の約1/50):Henry定数
  2. 水素は拡散しやすい(分子量2:最も軽い分子)
    • 水中の分子上水素は一瞬にして抜けるということはないにしても、少なくとも炭酸よりは長持ちしない。
    • 生体メカニズムが許容するのであれば、腸内より最も吸収され易い。
      炭酸はほとんど吸収されない。(分子量が大きいからという理由だけ?吸収されたら大変!)

たかだか一般的な水素水として販売されている製品では、水素の性質1.から考えると、効用を認めたとしても微々たる量しか含有できない筈ですから、太田成男教授が注意喚起をされることは頷けます。

ただ、2.の分子量という視点から考えると、小腸の上皮細胞であれ皮膚細胞であれ、吸収はされやすいと考えられますから、水素分子の体内への取り込み・吸収は、この2点のせめぎあいによって決まるのではないかと思われますが、この点は誰も言及しておられないと思われます。

ということは、溶解度が低いから微量しか取り込めないというのではなく、分子量が小さいから沢山取り込めるというのでもなく、そのせめぎ合いをきっちりと説明できなければなりません。

では、実際に普通の水素水としての効果はどうかというと、国民生活センターの報告にもあるように、水素さえ検出されない製品もあるとのことですから、安定して水素が含有されている同一商品で追跡調査をしなければ、結論を出せるものではありません。

すなわち、現状では効果に関して参考になるデータは無いに等しいと思われます。

さらに、水素が含有した水素水も販売されている中にあって、「胃腸症状の改善」以上でも以下でもない声しかあまり見かけませんから、ある意味、アルカリイオン水レベルの効果ということではないでしょうか?

裏返せば、胃腸や全体的な体調が快調で毎日が過ごせるという有難さを価値あることと捉えれば有用なものとは言えますね。

我が家でもアルカリイオン整水器を日常的に使っていますが、その感覚であればムダなものとは言えないということです。

さて、太田成男教授の「体内で水素を発生させる」という考え方は1.の問題点をクリアーさえすれば、体内に水素が存分に吸収されるだろうということになり、水素水を飲むことに比せば、より合理的な水素摂取方法と考えられます。

水素水の日常的な飲用が健康に及ぼす効果を調査するには、アルカりイオン水とも明確に線引きできるという点も含めて格好の材料だと思われますから、これこそ、国民生活センターは調査を進めていくべきでしょう。

暮しの手帖の花森安治さんのような方が居られれば、真っ先にやっていただけたのではないでしょうか?

基本的には、脳梗塞やパーキンソン病への水素ガス吸入という形態での効果など、明らかな疾患がある場合の研究は進んでいるようですが、普通の飲料水として普通の人への健康維持に効果を及ぼすのかどうか、特異的な何かに効果を及ぼすのかどうかは、まだ明らかではありません。

医療利用としての水素ガスなら厳重な管理下の下にありますから安心とはいえ、手術中に患部に流入した腸内ガスがレーザで引火したために患者が大やけどをしたという事故があったことも忘れてはならないでしょう。

白畑教授のおひざ元九州大学では、普通の水素水の日常的な飲用が健康に良いという報告を次々と出されてはいますが、日本医科大にしろどちらも産学共同であるということ自体で絶対の信頼を置くことはできません。

ですから、ぶっちゃけた話、今は、誰一人として水素水の効果のあるもないも断定することはできず、ただ個々人の知性と感性で判断するしかないのが正直なところでしょう。

これらを踏まえた上で、素人なりの疑問点を書き出しておくことにします。

腸内ガスはその分圧に比例、分子量に反比例して吸収されると考えられますが、

  • 血中に必要以上に溶け込むことはないのか?(飽和)
  • 通常時以上に水素が溶け込むことによる弊害はないのか?
  • 溶け込んだ水素は結局多くは呼気として放出されるのではないか?
  • 水素が利用されるにしても、そんなに都合よく活性酸素と出会うものなのか?
  • 作為的に水素ガスを日常的に取り込めたとして、それは呼気検査の本来のデータを乱し正確な診断を妨げることになるのではないか?

こういった疑問は、基本「水素がそれほど健康に必要なものであれば、無条件に腸内ガスから優先的に水素を取り込むメカニズムが出来上がっていてもおかしくはないのに」という思いがあるからです。