潜在意識・成功法則を謳う情報はたいてい無益時々有害

ジョセフ・マーフィーの潜在意識及び成功法則から展開していると思われる学校受験勉強法マニュアルに批判のコメントが入ったこと及び『パーフェクトブレイン』なる天才育成マニュアルの評判が芳しくないことがありましたので、少し自己啓発として溢れかえっているこれらのことについて、少しまとめておきたいと思います。

面白いことに、怒りのコメントが入りましたマニュアルには、次のように書かれています。

つまり、多くの成功法則の本を読んでも成功できない理由とその解決策がこのマニュアルには書いてあります。

ポジティブシンキングの本を読んだことのある人は おそらく数千万人はいますが、実際に成功されている方は1%もいないのではないでしょうか?

このノウハウはそうした市販の本の問題点とその解決方法が書いてあります。

販売ページには明確に「ジョセフ・マーフィーの潜在意識の法則」と書かれていますから、おそらくそのことはご承知の上、市販には書かれていないノウハウを期待して購入されたのでしょうが、市販と何ら変わることはなかったということなのでしょう。

おおよそ、自己啓発の類の情報や書籍のほとんどが、このジョセフ・マーフィーの成功法則、あるいはナポレオン・ヒルの成功哲学をリソースとしており、もっと広く言うなら19世紀アメリカキリスト教系の異端であるニューソートあるいはクリスチャンサイエンスの「ポジティブ・シンキング」をリソースとしていると言えるでしょう。

【buy恩人】でアンケートを採ったマニュアルでも、多くのものにこれらの言葉が見いだせましたが、共通して言えるのは、アンケート結果は芳しくなかったということです。

それほど、一般的に興味をそそられてしまう魅力がある言葉やキャッチフレーズだということなのでしょう。

現在では、さすがに悪名を馳せた「自己啓発セミナー」という名前は影をひそめたように思われますが、どこが違うのかさっぱりわからない似たり寄ったりの亜流まで含め、コーチングやセラピーなどという多彩な言葉に分化した形で百花繚乱の如く咲き乱れています。

社会全般に需要が多いのでしょうか、その辺のおばちゃんまでがコーチングの講釈を垂れるほどの賑わいぶりです。

マーフィーやヒルと同時代の臨床心理学者カール・ロジャーズ博士の学術的なカウンセリング理論ですら、安易にチョロっと勉強したぐらいで心理カウンセラーを名乗れるのですから(公的資格はないので無知でも名乗れる)、ましてや一般受けするコーチングなどというようなこのであれば、もっといい加減なものになるであろうことは容易に想像できます。

ある意味、コーチングの主張するエッセンスはカウンセリング理論とほとんど変わるところはありませんから、聞く方にとっては「なるほど!」と思わせられるのでしょうが、問題は、素人でもビジネスと軽々しく結び付けられるという点にあります。

さて、「潜在意識」なる言葉や「引き寄せの法則」などと言った言葉は、彼らの成功哲学のコアとなっており、日本では「生長の家」の谷口雅春氏や資格商法などによって広く喧伝されてきたものです。

そのこともあって、書籍にしろ電子書籍にしろ、所謂「自己啓発書」の類のPRで、これらの言葉を見ないものはありません。

自己啓発やコーチングに共通しているのは、

  • 心に思うことは必ず実現する
  • 相手に命令や指示や説教をせずに、巧みな質問によって相手が自ら気付き行動するように仕向けること

しかし、心を鎮めて考えてみれば当たり前のことなのですが、「思うだけで実現する」などということであれば誰も苦労はしません。

だからこそ、「実際に自己啓発で思いを実現した人は1%居るだろうか?」とメディアで問題提起され揶揄されるのも当然のことでしょう。

日本では仏教詩人 坂村真民さんの詩「念ずれば花開く」というフレーズが折につけ使われることから見られるように、非常に共感を得やすい周波数を持っているのでしょうね。

また、後者は我が子の子育てやら日常の一つのシーンでならともかく、第三者を対象として、しかもビジネスや宗教が絡んで継続的にその場に浸されるとすれば、これほど怖いことはないのではないでしょうか?

何故なら、巧みな質問は巧みなマインドコントロールを目的として使うこともできるからです。

しかも、巧妙なことに「自己責任」とセットで語られるのが共通点ですから非常に洗脳されやすい仕組みになっていると言えるでしょう。

そこまで極端にいかずとも、それが本当に自分のしたかったことなのかどうかも疑わしいことにすら誘導されてしまって、それが自分のしたかったことだと錯覚してしまうことすらあるでしょう。

真の愛情に裏打ちされていない場合には、これほど怖いことがないというのは、自分の主体性や意思を尊重してもらっていることが強く印象付けられる方法論があるからです。

その上「お客様は神様」といったサービス精神で競争する社会やネットに行けば気軽に共感してもらえる時代背景も相まって、昔の師弟関係や上から目線での指導を極端に嫌う風潮も強くなっているのではないかと思われます。

現実に真っ当な何かを成し遂げるには、対象に対する知識や技量を磨くことが必須になります。

そのためには、成し遂げようとするマインドが基底になければならないことは言うまでもありませんが、実際の鍛錬という行動に繋がらないようなマインドはマインドではないということも明らかです。

そこで、吉田拓郎でもないのですが、「君の欲しかったものは何ですか?」という第三者の誘導がない問いこそが実は必要になるのではないでしょうか?

もし、人や社会によって「欲しい」と思わされていた代物であれば、たいして行動に繋がることはありませんし、実は「自分もやればできるんだ」という自信だけに欠乏していた場合には、その気持ちを満足させてくれるだけで達成感を味わってるだけの場合も多いのではないでしょうか?

これらから鑑みると、日本人的精神の求めているものは、実は「癒し」止まりで、それ以上のものはそのための口実に過ぎないといったところが見受けられます。

要するに、これらの言葉や教えが、辛い現実を隠ぺいする効果があることは確かであり、その効果が意識されるとそれで満足してしまうという構図でビジネスが完結してしまうわけです。

コーチングする側からすれば、「はい、効果があったでしょ。あとは自己責任ですよ」というシナリオが達成されたことになります。

しかし、実際に何かを達成するのはここからが本番です。

ここで、実際に為すべきことを実践し、少しずつの達成感を肥しにしながら、知識が技能が向上していかなければ継続していきません。

心で思えば行動に移るだろうという理屈も初期の起動時だけのことで、実際に実践し、知識なり技能なりが向上していかなければどんどん減衰するのがオチです。

そこに必要なものは、マインドではなく対象にアプローチするために必要な正しい作法です。

心で思ったことがマインドだけで達成するなんてことはあり得ません。
まぁ、宝くじが当たったとか何もしなくても運がよければ実現できるようなことは別ですが…。

こういった当選者が「毎晩祈り続けたら当たった!」と言えば、ポジティブ・シンキングや引き寄せの法則が如何にも尊い真理などと思わされがちですが、「毎晩祈り続けていた人もどれほど多く存在したでしょうか?」というオチで落ち着く一言で言えばインチキ話ということです。

ポジティブ病の国、アメリカ

もし、あなたが、こういった癒し止まりで満足する病にかかっているのであれば、バーバラ・エーレンライク女史の『ポジティブ病の国、アメリカ』を一読されて、ポジティブ・シンキング病を断ち切り、自分の文脈上での「欲しかったもの」を探してみることこそが必要なのではないでしょうか?

ポジティブ・シンキングが如何に社会を疲弊させているかということを痛感されることと思います。

【buy恩人】もポジティブ・シンキングそのものを否定するわけではありません。
ヒステリックにポジティブ・シンキングが叫ばれ、万能のように思わされることが非常に危険だということなんです。

サクセスストーリなどというものは、たいていがビジネスでの成功理由を後付けでこじつけてストーリーに仕立てたものがほとんどではないかと感じられます。

サラリーマンとしての実務的スキルアップや実体のある真面目なフィールドでスキルアップを果たした人のエピソードは、ただ淡々とした日常の精進が語られるのが普通です。

ですから、ポジティブ・シンキング的方法論は使う文脈を間違えると、ましてや数回受講すれば民間資格が与えられるような素人レベルによってビジネス目的で結合された文脈である場合には大いに注意を払う必要があるでしょう。

全て基底に流れているものは「ポジティブ・シンキングで思うことさえすれば、思うことは必ず実現するんだ!私が君の心の声を引き寄せてあげようではないか!」というものであり、それ以上にもそれ以下にも展開されたものはないように思われます。

ですから、言葉を変えようがメタファを変えようが、「他では書かれていないようなことを記した」などということは考え難いということを表しているのではないでしょうか?

まずは、「潜在意識」やら「引き寄せの法則」などの言葉を見かけたり、コーチングを受けてみようかなどと思われた際には、こういったことを思い直されていただければと願います。

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